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zoom RSS 雑記「夢を見るなと彼らは言った」

<<   作成日時 : 2008/05/01 21:23   >>

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スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫 136-11)
オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫 200-4) 冲方丁

――だが夢を捨てろとは言わなかった。

毎回オイレン→スプライトの順番で読んでいたのですが、今回はスプライトが先に出たので悩ましかった。
しかし結局読み終えないうちにオイレンが出たので先日一気に両方とも読了。
やはり一度に読んだほうが感動も増しますね。
いつものことながら周りを固める大人連中(+水無月&吹雪)は格好良すぎる。
特にあめりか人二人は美味しい所持ってきすぎだろ。
死なないでよかったですね、ホントに。
冬真は――まあデートでは頑張ったよね、うん。
それぞれについての感想は以下に。

>オイレン→今回はついに三人ともレベル3に突入。どんどんハードボイルド化していく涼月が格好良いですが、全体的に三人それぞれの心情と成長により焦点をあてた筆致が光ります。クライマックスには泣いた。
特甲猟兵の荒廃しきった心象風景も、過度の感情移入を廃してなお胸に寒々としたものを感じさせます。
「健常者」から見てあらゆる意味で壊れている彼女ら、彼らがなおその機械≒肉体という状況に同化するのでも拒否するのでもなく、ただその状態で生きざるを得ない、という部分が切実に、しかしウエットになりすぎることなく描かれていると感じました。

>スプライト→今回もより俯瞰的な視点から大枠の話を語り切ってみせる手法。
途中のなんか既に存在してそうなゲームの話などに象徴されるように、現代とも生々しく結びつく話題を正面から扱いながらも決して説教臭くもイデオロギー臭くも無く、きっちりエンターテインメントとして存分に物語を描いてみせる――語り手としての底力をまざまざと見せ付けられた作品と言っていいでしょう。無論機械≒肉体という部分についてはこちらも同様、しっかりと描かれています。

まあ、目くじらを立てたい人にとってはいくらでも突っ込める危険なネタは相変わらず双方に満載です。
とは言え、虚心に読めば作者が憎むのはイデオロギーでも経済活動でもなく、あくまでそれらを免罪符にした悪徳そのものであるという事は判るはずなんですがね。

>機械≒肉体、という存在の描き方についてもう少し。
例えば士郎正宗(あるいは押井守、というべきか)の描く機械≒肉体の関係には、所謂「人間性」そのものの変化を受容する視線(一種の諦観と言っても良いですが)――が垣間見える、と個人的には思っています。
それに対して冲方氏が描くそれには、何処まで機械=肉体を突き詰めても、あるいはどこまで壊れても「人間」は「人間」でしかありえないのだという希望(もしくは絶望)が見えるような気がします。
「マルドゥック」シリーズもそうだったと思うのですが(シザースだけは微妙……かな)、「シュピーゲル」のシリーズは六人の少女の成長を軸に据えることによって、機械≒肉体であっても「人間としての肉体性」はそこに確かに存在しているのだ、と宣言している――そんな物語なのかもしれない、と思いながら読んでいます。


スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫)

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