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zoom RSS 雑記「ちゃぶ台返しをも楽しめるかどうか」

<<   作成日時 : 2008/06/06 19:44   >>

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零と羊飼い (一迅社文庫 に 1-1) 西川真音

巻末の工画堂のコメントが何やら意味深ですがそれはさておき。

この小説、物語について語ろうと思うとネタバレを避けられない構造を持っています。
並列された三つのペアの物語がやがて一つの物語、一つの結末に収斂するその構造は、率直にいって小説よりはゲーム向けのものかな、という印象。
何故か、と言いますと、紙媒体の一冊にまとめられた小説ではどうしても「読む順番」というものが固定されてしまいます。結果、並列された物語でも作者の意図に関わらずそこには順位が発生してしまうことになる。
意図的に順位を設定しているならそれはそれで良いのですが、本作については「順番」が作者によって固定されないほうがより物語を楽しむには適していたのではなかったかな、とつい考えてしまうのですね。
原作でもWebノベルの段階で発表順はあるわけで、その時点ですでに順番は発生してはいるのですが、章ごとに
エントリが分かれているだけで意外と「独立した」物語である印象は与えられるものですし、「順番」を意識する度合いは紙媒体より少ないのではないかと思います。
こうした部分を含め、読者にどれを先に読むか選択の自由を持たせるADV形式のほうが物語の構造はより生かせたのではないかな?、とはどうしても思ってしまう所です――とはいえ、全体としては上手く紙媒体の小説に置き換えられていると思いますが。
全体としては、個々のキャラクターを描くことより、むしろ与えられた命題に対する回答はいくつ存在し得るか?という読者に対する問いかけを重視した作品である、という印象を受けました。
三つのペアを等価に扱っていた前半〜中盤の流れからは後半の怒涛の展開は中々想像し難いものがありましたが、メタ的な論理のアクロバットを見せるそれを納得できる落ちと捉えるか「またデウス・エクス・マキナかよ!」と星一徹になるかは読者次第――かな。
ただ、ペアの物語そのものを重視する人にとっては、むしろ後半の展開は蛇足、あるいはご褒美程度のものに写るかもしれません。個人的には、本作の結末は個別バッドエンドしかないゲームのヒロインたちがトゥルーで救済されるようなもんだよなあ、と思ったので、その辺「どの結末を真とするか」は読者(ユーザー)にゆだねられているべき作品なのかな、という気も致しました。
恐らく冒頭に挙げた工画堂のコメントも、その辺の微妙な違和感と接続している部分はあるのではないかな、と。
零と羊飼い (一迅社文庫)

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