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zoom RSS 雑記「追憶。」

<<   作成日時 : 2009/05/27 19:09   >>

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栗本薫 - Wikipedia:

 僕は栗本薫の「最近の読者」ではなかった。
 自分にとっての栗本薫は、過去いくつかのエントリでも述べたようにまず「トワイライト・サーガ」であり「魔境遊撃隊」であり、グインで言えばダリウス大公の退場まで、惰性で読んでいた時期も含めてもせいぜい軍師アリの粛清まで、である。全てはすでに追憶の中だ。

 故に、僕が故人に哀悼の意を表する、などとわざわざ言うのはおこがましい気もするのだが――とは言え。
 あの頃、「豹頭の仮面」を読まなければ僕はコナンやエルリックを読むことも無かっただろうし。
 つまりは、今こうして駄文を書き連ねるような人間に育つことも無かっただろう、という事でもある。

 ――故に。
 近作や衆目の一致するような名作を薦めるのは最期まで故人に付き合った方におまかせするとして、僕はあくまで極私的な記憶の中にある栗本薫を取り上げたいと思う。
 これから挙げる十作は、今の僕をかたち造ったものの一つとして、まだ息づいている。
  



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 初期のグイン・サーガはどの巻も名作と呼んでいい、と個人的には思っているが、まずはこれを挙げてみた。
 外伝は一巻で片がつくのでつまみ読みするには向いていると思う。
 グイン&マリウスのコンビはゼフィール&ヴァン・カルスと比較してみるのも面白いだろう。
 ゾルーディアのイメージは今読んでも強烈。



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イシュトヴァーンも加えた三人の珍道中(?)外伝ならではのはっちゃけぶりが好き。
 後年、コナンやエルリック、あるいは高千穂遥の「ハリィデール」を読んだときには、まずこの作品が一つ面白さの基準になっていたような気がする。
 その他、「七人の魔道師」は言うまでもなく古典的名作だし、「幽霊船」は一番格好いいイシュトヴァーンが読めるし――で、初期の外伝四作はどれも甲乙付けがたい。
 反面、本伝をどれか一巻選ぶ、というのは流石に難しいかな。
 まあ、「風のゆくえ」まではどこを読んでも外れは無い――とは思うけれど。




 後年の耽美な文体と骨太なファンタジー文脈の橋渡しになった作品――とも、今は思える。
 天野喜孝の描いた表紙絵も素晴らしい。


魔境遊撃隊〈第一部〉 (ハルキ文庫)
角川春樹事務所
栗本 薫

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 広義のクトゥルフもの、ではあるが孤島脱出ものとしても好きな作品。この作品のもう一人の主人公とも言える印南薫の造形はなんだかんだで後続に大きな影響を与えたのではないか――そんな気がしている。
 まあそれを言ったらゼフィールもそうなんだけど。



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 作品としては「猫目石」のほうが好きなのだけど、あれはぼくらシリーズと伊集院シリーズを読んでいないと面白くないので、ここではぼくらシリーズの第一作を選んでみた。
 描かれている風俗はさすがに古さを感じざるを得ない――が、案外今の読者にとっては京極堂の時代と大差なく「ただの過去」として受け取られるもの、かもしれない。



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 伊集院大介シリーズからまず一作。非常にプロパーなミステリではあるのだけど、民俗系の題材の混ぜ方はある意味で京極夏彦の作品に先行するもの、と言える。横溝や乱歩と京極を繋ぐミッシング・リンク――というと言い過ぎっぽいな。チープな部分も含めて好き。


絃の聖域〈上〉 (角川文庫)
角川書店
栗本 薫

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 伊集院のシリーズでは一番好きな作品。風呂敷の大きさや耽美さこそ「天狼星」に始まる一連の作品群に譲るが、この作品に漂う静謐さと緊張感が放つ魅力は栗本薫が書いたミステリの中でも白眉だろう。
 最も、どんなトリックだったかは実のところもう記憶がない。それでいいのだと思う。 



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 かなりどろどろした時代劇。里見八犬伝や神州纐纈城あたりを底本としていた筈、だけど細かい所は流石にあやふやだな。山田風太郎が好きな人には薦めてもいいと思う。
 最近の人だと、何となく鳴海丈のエロ時代劇には通じるものを感じなくもない……かな。
 鳴海丈が最近の人か、という指摘はさておくこととする。



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 うん、まあ、その……百八星が集まるまでが一番面白いよ!(ぉ
 その辺は元ネタの水滸伝と一緒……というとまた別の所から怒られそうだけど。
 とは言え、旧支配者が復活する前後の筆致は今読んでもぞくぞく出来ると思う。
 



 オールドSF好き限定、ではあるが、パロディ・オマージュとしては良く出来ている(いた)。
 今となっては、コピペとして元ネタを知らない人に日々消費されていてもおかしくないような、そんな短編集かもしれないが――何かへのオマージュがさらにパロディやオマージュの対象となる、というような状況がもし存在するとしたら、作者としてはむしろ望む所、ではないだろうか。
 ――そんな気がしたところで、とりあえず締め。
 
 このエントリをもって、故人への感謝に代えたいと思う。

 今までお疲れさまでした。

 素晴らしい時間をありがとうございました。 


 

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