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zoom RSS 雑記「奇跡なす者たち」

<<   作成日時 : 2011/09/29 00:51   >>

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 ジャック・ヴァンスは、唯一無二の個性を誇るSF作家である。


奇跡なす者たち (未来の文学)
国書刊行会
ジャック・ヴァンス


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 翻訳からですらそのテキストの美しさと独特の味わいを読み取るのは容易だ。
 センス・オブ・ワンダーという使い古された言葉があるが、ヴァンスにおけるそれはSFとしての仕掛けやロジックよりむしろ描写にこそ現れる――僕はそう勝手に思っている。
 本作品集はある意味では出たこと自体が奇跡のようなものだが、嬉しいことに今後も「ヴァンス・コレクション」として続刊が予定されているらしい。故朝倉久志氏の端整な翻訳が読めるのも嬉しいし、酒井氏の燃え感覚を熟知した翻訳も愉しいが、それも原文がカラフルな輝きを放っているからこそより強く感じられるものだろう。

 以下、収録作品の感想を少々。
 この作品集が初出でない作品もいくつかあるが、僕自身は今回が全て初読であり、新鮮な思いで読み終えることができた。

フィルスクの陶匠
 オチはすぐ読めるのだが、わかっていても楽しく読める。
 ヴァンスの書く女性は端役でも魅力的なのだが何故だろうな。


 SFだがむしろ幻想譚に近いようでもある。不思議な読後感。

保護色
 手塚治虫というかアトム(あるいは火の鳥)を思い出したりした。古きよきSFという印象だが、イメージがいちいち視覚に訴えるあたりがコミック的と思わせるのかもしれない。
 
ミトル
 一番叙情的かつシンプルな物語だが読後感は正直言ってよろしくない。
 クトゥルフ系作家に再利用されてもよさげなイメージを持っているかな、とか思った。

無因果世界
 SFとしては一番イマジネーションに満ちている。時代なりの古さはあるがさほど気にならなかった。
 ラファティのほら話に近い味わいがあると思う。

奇跡なす者たち
 「最後の城」の下敷きになったのかな?と思わせるほどシチュエーションと構造は似ているが個人的にはこちらのほうが好き。酒井氏の翻訳もこの作品には合っている。この作品集では「月の蛾」と並んでお気に入り。
 しかしエンターリンはどこへ行った(ry

月の蛾
 SFとしても異世界を舞台としたミステリとしても良い出来。傑作と言われるだけのことはある。
 魔王子シリーズの「愛の宮殿」を思い出したりもした。

最後の城
 モチーフは日本人と言われて納得できるようでもありそれはどうなんと言いたくなるようでもあり。
 滑稽な部分と現在でも通じるような問題意識が混ざり合って味わいある作品になっていると感じた。
 
 以上、ヴァンスコレクション完結までは国書刊行会の回し者となる所存。

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