雑記「素材に対峙するときの性差?」

檻の中の少女 (角川ホラー文庫 78-17) 大石圭

空港で買ったのですがさすがに機内では読めませんでしたw
で、読み終わって思ったこと。
とりあえず、これが何故ホラー文庫から出たのかが良くわからない。
作者がナボコフの「ロリータ」に強い影響を受けた、と言う通り、これはそういう小説です。
昔だったら川本耕次や館淳一が書いていてもおかしくない中身。
その程度の「実用性」は持ち合わせています。
逆に上記二名ほどの叙情的要素は希薄ですが。

ややネタバレになるのを承知で言えば、「私の男」が所謂「そういう関係」を少女の視点、女性作家の視点から書いた小説だとすれば、「檻の中の少女」はどこまでも男の視点、男性作家の視点から「そういう関係」を書いた小説だと言えるでしょう。
そのどこにもホラー要素はありません。最も、男の側の身勝手な論理が少女の思考を描写する過程においても貫かれている、というのは、確かにある意味恐怖かもしれませんが(穿ちすぎ?)悪い言い方をすればドリーム入りすぎ……ああ、主人公のドリームが実現されちゃった、という意味においてホラーなのかな。
でもそもそも「ロリータ」自体そういう面がある小説かも、と考えるとこれはある意味正統的なオマージュと言えるのかもしれません。

ちなみに私個人としては、「私の男」は桜庭一樹の小説として特に優れている、と思っているわけではありません。故に直木賞を取った作品と比べるなど失礼だ、などとはどうか言わないで欲しいなーと思っています。
少なくとも私は「直木賞作家だから」桜庭を読んできたわけではないので。
(無論、「檻の中の少女」が「私の男」より優れている、と言っているわけでもないので、どうかお間違えのないように)

……まあ、こんな所ですか。細かいところで色々突っ込みたくなる部分はあるのですが、こういう素材を扱った小説としては悪くないのでは?と思いました。
作家のプロフィール(http://www.excite.co.jp/book/guide/profile_141.html)を読むと、もともと犯罪者を主人公にして感情移入させるのが得意な方のようです。成程、という所ですね。

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