雑記「言葉遊びの誘惑」

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫 し 2-1) 朱門優

お朱門ちゃん大爆発。

いや、とりあえず言ってみただけですが。
「いつか、届く、あの空に。」等のシナリオライターとして知られる朱門優氏の作品。
「いつ空」でも顕著だった言葉が持つ複数の意味、二重性を伏線として落とし込むことに徹底的にこだわった作品、と言えるでしょう。舞台装置が似ていることもあり、ひょっとして「いつ空」製作時に没になったプロットの再生ではないか?と要らぬ勘繰りをしたくなるほど。とは言え、決してネタの使いまわしなどではなく、全く別のお話として成立しているのでその辺は安心して楽しめます。
健忘症かと思うほどの主人公のニブチン振りはどうかと思わなくもないですが、この話はそもそも彼がニブチンでないと成立しないので致し方無いですね。彼といちこ、そしてアネモイとのやりとりは非常に愉しく読めました。
アネモイの造形はどこかロミオが描く妖精さんをアップデートしたようにも見えますが、それはアネモイや彼らが有する偏在性に拠るものなのかなー、とかちょっぴり妄想。
ラスト、やや雰囲気で押し切られたかなー、という感覚はあるものの、面白い掛け合いが読みたい方にはおすすめです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック