HOTEL OF HILBERT

アクセスカウンタ

zoom RSS 雑記「空虚な中心としての無垢」

<<   作成日時 : 2010/12/23 20:12   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

――悲しみよ、こんにちは。


猫物語 (白) (講談社BOX)
講談社
西尾 維新

Amazonアソシエイト by 猫物語 (白) (講談社BOX) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



Amazonアソシエイト by 化物語アニメコンプリートガイドブック の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


 読んでから随分時間が経ってしまったが、傾物語が出る前に一度まとめておこう。
 (以下盛大にネタバレあり)

 というわけで、本作は羽川翼の語り/騙りによる化物語シリーズの新章である。
 
 ――例えば、戯言シリーズの大人というのは良きにつけ悪しきにつけ成長しきっていて行き止まりの人ばかりなわけだが、翼にしろ他の人間にしろ化物語で中心となる連中は皆基本的には子供である。忍でさえあの状態においては生まれたての存在にすぎない。
 故に、彼ら・彼女らはどんな感じに成長していくのだろう、という楽しみが毎回読む度にあって、今となっては作者もそれを探りつつ書いているような気がするのである。
 で、今回は羽川翼の話だ。
 読んで最初に思ったのは、これは人間宣言だなあ、ということ。
 例えば羽川翼少女天皇説、みたいなものを考えてみる。
 ロラン・バルト言うところの空虚な中心に住まうもの。
 これは美少女天皇に関する@crow_henmi氏のポスト(http://tinyurl.com/2a45yey)(http://tinyurl.com/25ku4kk)とかからの連想でもあったのだけど、文脈としては直接は関係ない。
 むしろアンタッチャブルな存在に「成る」――生成される、あるいは完成されるにはどうしたらいいか、という話で。
 羽川翼は結果としてそう成っていたけれど、そのためにどのような事を為してきたのか、という話でもある。
 そのまま進んでいれば、彼女は戯言シリーズの大人のように「行き止まり」生き止まっていたことだろう。
 歪みをその都度切り捨てながら、最終的には誰も傷つけることのできないものになっていたことだろう。
 当然だ。そこには傷つけられるものがそもそも存在しないのだから。 
 しかし、幸いなことにそうはならなかった。化物語シリーズは程度の差こそあれ常に子供が「行き止まりにならないよう頑張る話」であったが故に。
 人間宣言はそれ故正しく美しい。
 しかし、あれが別の世界のお話であれば逆の結論もありえただろう、とか色々と考えるのも、それはそれで面白くはあるのだけど。
 上記と重複するが、西尾維新における大人は己の役割・キャラクターに進んで(必ずしも望んで、ではないが)留まり続ける連中という印象があって、個性が固まりすぎているが故に己を裏切れない、といったところがある。
 で、戯言シリーズでは彼らを切断/破壊するのが子供であるいーちゃんであり、あるいは大人でありつつ子供のままの存在である哀川潤であった。後発の「りすか」や「きみぼく」シリーズではその対立軸はやや不明瞭ではあるが、少なくとも化物語のシリーズにおいてはメメ以外のレギュラーがほぼ子供だけ、ということもあり、わかりやすい構図になっている。ゲストで登場する大人たち――例えば泥舟や余弦と、哀川潤の読者への「見え方」を比較してみてもそれは明らかだろう。

 ――話がそれた。
 で、今回のお話はあくまで人間宣言で終わっているので、翼としての成長はこれからだよなー、とかDVD六巻のコメンタリーは白の後の翼なんかなーとか、そういう妄想なども出てくるのだけど、その辺は他のヒロインにも言えることで。ヒロインが自立するというのは結局メメや暦がいなくても大丈夫な己を手に入れるということ、と考えると、今後の作品は全てヒロインの語りになるかも、という巷の意見にも頷けるものがある。神原にはいーちゃんや人識くん的な形でのイニシエーションがありそうだし、撫子にしても暦に振られないと前には進めない。
 今回の羽川に象徴されるように、気持ちなり主張なりを表明しないでわかってくれというのは甘え、というのはクビシメのころからずっと西尾維新のモチーフである。伝えようとする意志を持ち実行に移す、というのが常に通過儀礼としてあるので、恐らくどのヒロインにも同じような試練が用意されているのだろう。
 その意味では「周辺が意志を忖度する」美少女天皇など、もし存在したら甘えの極みと西尾世界においては言われそうではある。この場合は甘えているのは本人だけでなく、それを忖度する周辺もまた甘えているわけだが、猫物語においてこの周辺は羽川の両親にあたるかもしれない――とか。

 さておき、虎というのは山月記の虎でもあるよなあと思う。
 誰か「タイガーランペイジ」使って翼MAD作らないかなー、という妄想。


 そんな感じで、とりあえず。
 コンプリートガイドはインタビューや資料も豊富なので、ショートストーリーを抜きにしてもお得な本でした、はい。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
雑記「空虚な中心としての無垢」 HOTEL OF HILBERT/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる