創作「いつでも君は、僕より優しい。(12)」

ChapterⅩⅡ:interlouge

 調子外れなサックスの音が流れている。
 美術館の敷地を見下ろせるビルの屋上。
 件神無子が扉を開けると同時に、音は止んだ。
「――やあ」
 黒いサングラスと黒い肌、そして黒いスーツの巨漢。
 大烏の化身、と言われれば信じてしまいそうな男が、柵にもたれてサックスの口を拭っていた。
 今しがたまで悪戦苦闘していたのは、彼。
「待たせたかな――『真珠』の人」
「いや、丁度良かった。そろそろこれの扱いに困っていた所だ」
「写真でしか知らんが――ブラザー・タイタスだな」
「いかにも」
 恐らくこの男がどこかで待ち構えているだろう、とは予測していた。
「私は特計処務課処務係、件神無子――しかし、酷い音だな」
 特計の得た情報によれば、士師を除いた中では屈指の武闘派――実力は恐らくバルシュカ以上。
 速やかに排除すべき相手だが――真面目な中にもどこかとぼけた雰囲気がある。
 多少、話をしてみたくなった。
 恐らく、相手も同様なのだろう。
 戦意は感じるが殺意はほとんど伝わってこない。
「お恥ずかしい。だが、扮装に似合う程度には吹けるようになりたくてな」
 この男が空港などで楽器のケースを持っていたのはチェック済みだったが――
「本当に中味が楽器だとは思わなかった」
「武器を飛行機で持ち運べるわけがなかろう」
 男の声に冗談の色はない。大真面目だった。
「スパイや殺し屋なら部品を分解して持ち運ぶもんじゃないのか」
「生憎、我々はどちらでもない」 
「……なぜ、ここで待っていた?」
「美術館を指定したのは我々だ。当然、周辺も調査済みである」
 確かに、美術館の外が戦場になると仮定したとき、このビルは周たちを援護するのに一番都合のいい場所だった――いきなり建物ごと消滅するとは流石に想像の外だったが。
「では、私は誘い出されたというわけか」
「さて。其がここに居るのはコンスタンの指示だ。彼は昨日のうちに狙撃ポイントを全て『踏んで』いた」
「……踏む?」
「アマネから聞いておらぬか――其がミュサの回収に駆けつけたのは、彼の能力による」
 なるほど。この男がテレポーターなのだと思っていたが。
「対象を『跳ばす』のがブラザー・コンスタンの能力か」
「さよう。彼は、自分の眼で一度見た場所や歩いた場所なら、誰でも跳ばせる」
「しかし、周があんたと逢った時は――」
「ミュサの眼鏡にはカメラも付属している」
 その映像は常にコンスタンの元に送られている。
 すなわち、ミュサがいる所、あるいはカメラが在る所ならばどこにでも兵隊を送り込めるということ。
「なるほど。状況を周から聞いて、聖女を単独行動させるとは不用心だと思ったが――そういうからくりか」
「そういうことだ。そして、彼は踏んだ場所すべてにカメラをばらまいて監視している。君がこのビルに入ったのを確認してから、其を送り込んだ。それだけだ」
 人員は限られているのでな、とタイタスは嘆息してみせた。
「お互いにな」
 なるほど――しかし、それはさておき。
「そこは私の特等席なんで、どいてくれないか。練習ならここ以外でもかまわないだろ」
「生憎、下手なのでな。人に見られると羞恥を覚える」
 君が出直してくれると嬉しいのだが、と表情も変えずに言った。
「そうかい」
 いきなり、撃った。
 クロスボウの矢は、タイタスの右耳をかすめて空へ消える。
「今はあえて外した。次は当てる」
「――問答無用で当ててくると思ったが」
「特計処務課は致死許可証を持っている。が――それはあくまで殺意を持って向かってくる相手にしか適用されない」
「成程。では、其は此処に居ても良いのではないかな。君に対する殺意はない」
「NOだ。警告を無視した時点で、周に対する殺意を有するものとみなす。私は周のバックアップ――あいつが生き残る可能性を上げるのが、私の仕事だ」
「成程。お互いするべきことは同じか――だが」
 周と対戦している少年は六大士師の一人、エフド。
 彼の戦闘力は冠絶しているとはいえ、その肉体はあくまで只の人間だ。
 遠距離から狙撃されてはひとたまりもない。
 しかし、とタイタスは疑問を覚える。
 彼女のクロスボウでは、この距離でエフドに届くとは到底思えないのだが――
「それが全てではあるまい。君はバックアップであると同時に彼らの監視役でもある。そうだろう」
「だから?」
 神無子は笑う。
 それがどうした、という表情で。
「ガキにはお守りが必要だ。あんたも同じだろう、タイタス・ド・リューズ」
「――なるほど。得物は、それだけかね」
「銃は嫌いなんだ。私は臆病でね」
「――そうかね」
 言い終えると同時にサックスを神無子に投げつけ、タイタスは横に跳んだ。
 飛んでくるそれを避けると同時に無造作に彼女は撃ち返してくる。
 予備動作もなく。狙いもなにもあったものではない、素人臭い動きだった。
 そんな姿勢で当てられるはずは――そう思った瞬間、彼の足を矢が掠めた。
 いや、当たっていた。刺さらなかっただけだ。
「……ふむ、あれが当たるのか」
「おー、躱すんだ……つか、あれで刺さらないのか」
 しっかり当たったと思ったんだが、と首をひねる神無子をタイタスは賞賛した。
「当たったとも。面白い――そうか、それが君の能力か」
 どう見てもまともに狙ったとは思えない撃ち方だったのに、何故かきっちりと命中していた。
 それは技能ではない。異能だ。
「そういうこと。私は撃つときにわざわざ狙いをつける必要がない」
 それが陽性異能者・件神無子の能力。
 当てたい部分、当たる「はず」の部分を見て撃てば、当たる――即ち、全発必中。
 そんなでたらめな射手。
 彼女にとって、狙いとは意志。
 ――故に意志によって、射線はいかようにもねじ曲がる。
「クロスボウをあえて使う理由はそれか――まるで魔弾だな」
「その呼び名は好きじゃないな。カスパールよりロビン・フッドやウイリアム・テルのほうが好き――それだけだよ」
 また、無造作に撃つ。
 虚空へ放ったとしか見えない一撃が、タイタスの左足を今度は正確に貫いたと見えた――しかし、矢は抜けていない。
 服は貫いたものの、深くは刺さっていなかった。
「……なるほど」
 理解した、とタイタスは呟く。
「では、次はこちらが手の内を晒そう」
 そこで神無子は、はじめて戸惑った。
 ……刺さったと見えた矢が、押し出されていく。
「ふむ――もう少し硬度を上げる必要があるようだ」
 やはり。それがこの男の――
「……体、ちょっと小さくなったんじゃないか」
「素材は限られているのでな。有効活用だ」
 タイタスの身長が――いや、横幅も縮んでいることに、神無子は気付いた。
 最初はサイズが小さめに見えるほどぴったりだった服が、今ではゆったりとして見える。
「……質量制御系の能力か」
「――某が負うのは『クリストフォロス』の名」 
 己の肉体を――いや、己の質量を操作するインヴィクトゥス。
 それで、体を任意に小さくしたりできる――のか?
 無造作に、今度は心臓を撃つ――が、甲高い音を立てて、矢は跳ねかえされた。
「――!?」
 プロテクターでも付けているかのような――いや。
 この男、すでに全身が鋼鉄並の強度か。
「この程度で良いようだな――しかし、解せんな。それだけの能力を持っていながら何故前線に立たない」
 無差別に撃っても必ず当たるのなら、むしろ突撃にこそ向いていると思うのだが、と言ってタイタスは首をひねる。
「生憎、私は臆病なんでね――それに、誰か一人ぐらい、あの二人を見守る人間は必要だろう」
 放っておけば、あの二人は自ら望んで地獄に突撃していく。
 そういう危うさで出来ている。
 だから――私がいる。
 見守り支えるだけでなく――地上に繋ぎとめるために。
「あんたにはいないのか? そういう人間が」
「そうだな。今は――エフドがそれにあたるのだろう」
「じゃあ、今でなければ?」
「――聖務は全てに優先する」
 そして、タイタスは今日はじめて前に踏み出した。
 ずしん、と。無造作に踏んだ一歩が、ビルを震動させる。
「そういうことだ――件神無子殿。貴方がエフドを狙撃するのを、其は阻止する」
 ――これは。
 神無子は慄然とする。
 ただ歩き、構える――それだけの仕草の一つ一つに漂う重量感。
 それが彼女に危険信号を発信していた。
 この男は――
「仕方ないな――じゃ、そろそろ真面目に殺し合おうか」
 その返しにタイタスがふ、と笑った。
「その言葉――心臓を狙っておいて今更ではないか?」
「――違いない」
 ディクタットを適用し――統計に影響を与えるイレギュラーを排除する。
「私には嫌いなものが沢山あってね、タイタス・ド・リューズ」
「好き嫌いの全くない者など、おらぬだろう」
「まあそうなんだが――銃も嫌いだし、泳げないから水も嫌いだ。煙草を吸うというだけで白眼視する健康マニアも嫌いだ。あんたは煙草吸うかい?」
「生憎、酒も煙草も嗜まぬ」
「なるほど、また殺さない理由が一つ消えた」
「……好き嫌いは良くないと、子供のころ大人に教わらなかったかね」
「生憎、大人のいう事も昔から大嫌いな子供でね」
 筋金入りのひねくれ者だった。
「だが、何より嫌いなのは狂信者だよ――エイレナイオス」
 言い終えるより先に二発連続で矢を放つ。
 今度は最も柔らかい部分、すなわち彼の目に。
 しかしかわされた――いや、違う。
 神無子の矢はかわせない。
 しかし、狙われた場所が神無子が放つ前に予想できれば、庇うことはできる――その、鋼鉄と化した腕で。
 ぎぃん。
 金属と金属がこすれあう音と供に、矢は地に落ち。
 次の瞬間。
 タイタスの身体は、神無子の眼前にあった。
 一瞬で間合いをつめてきた彼は、腰溜めにした腕を下から振り抜く。
「――!」
 拳法。しかし――途切れない。
 しかも、風を切るその感触は――重い。
 鋼鉄どころではない、鉛の巨塊が飛び交っているような――文字通りの、黒い颶風。
 速い。そして、この重さは一体――
「……予め言っておこう」
 その宣告。
「其の体重は二百九十キログラムだ」
「……!」
 最初の体型が、既に体を圧縮していたのか――!
 ならば、今、この拳に込められた質量は。
 果たして、どれほどのものか……
「……それが其の能力だ」
 体を構成する原子・分子構造を制御し変質させる。
 人の肉体を――別のものに変えてしまう。
 広範囲に影響を及ぼす能力ではないが、超常性だけで言えばエフドの能力にも匹敵するだろう。 
「がっ!」
 掠めた。
 それだけで、意識が持っていかれそうなほどの衝撃と圧迫感。
「近接戦闘型の質量制御者(クリストフォロス)、とは――こういうものか」
 ライト級のスピードで動く相撲取りを考えてみればいい。
 重く、硬く、それでいて速い――格闘では一番避けたい部類の相手だろう。
 タイタスはさらに踏み込んでくる。
「距離は、取らせぬよ」
 彼がステップを踏むたびに、コンクリの床が地震でも来たかのように激しく振動する。
 そもそも聖者トマスの別名は――闘技者(グラディアトゥール)!
 平常時の闘志の希薄さは、己に対する絶対的な自信の裏返しか。
 今のタイタスは高圧な戦意の塊だった。
 一歩ごとに揺れが床のひび割れを拡大していくような、そんな恐怖すら覚える。
「――あんま無茶すると床が抜けるよ!」
「その前に君を潰すか、外に放り出せばよい」
 断っておくと――部分部分で、比率は制御できる。
 そうタイタスは言った。
「――だから、このようにも」
 彼の手が、リーチが伸びた。
「多少、柔らかくすれば」
 重量を思わせぬスピードとともに、パンチが神無子を襲う。
 しかも――普通の人間の身体のように、撓る。
 結果、腕自体が超重量の鞭と化して、神無子の腕を叩き――
「がっ……!」
「――こんなことも、できる」
 彼女は吹っ飛ばされた。
 床に叩き付けられると同時に、クロスボウがひしゃげて落ちる。
「……君の抵抗手段は失われた。死にたくなくば、ここで引け」
 顔を上げた神無子に、タイタスは宣告する。
「殺さないのか? 聖務は全てに優先するんだろ」
「エフドを狙撃する手段が失われた以上、其の任務は達成された。君の処遇は其の裁量に任されている」
「……そりゃ、ありがたいこったね」
 クロスボウを持っていた腕は折れた。肩も外れている。
 激痛に耐えながら、神無子はもう片方の手を床について、ゆっくり体を起こした。
「――まだ、立つか?」
「あんたたちに、樹が救えないとわかってる限りは、ね」
「……君に周が救えないように、かね」
 ――ああ。その通り。
「あいつは救えないよ」
 だけど、背中を見ていてやるぐらいはできるさ。
 神無子は、ずっとそう思っている。
「……なるほど、そういうことか」
「そういうこと」
 保護者って柄じゃない。監視者に徹するほど冷静にもなれない。
 ただ、あいつを最後まで見届けてやるのが、私の仕事で――私のやりたいことだ。
「あくまで君の行動理由は彼女ではなく、彼ということか」
 神のために戦う我々とそこが異なる点だ、とタイタスはあくまで冷静に分析し――しかし、反論も否定もしなかった。
「君たちは常に大いなる愛より個人の愛情を優先させる。神の愛の元でこそ命は真に輝くと其は思うが――それもまた、人それぞれか」
「……神の愛なんていらない、むしろ人に愛されたいと思う奴のほうが、世の中には多いってことじゃない?」
「嘆かわしいな――だが、君の行動原理は、それでもエフドやあの少年より其に近い」
 故に――立つならば手加減は出来ぬ。
 そう言って、タイタス・ド・リューズは再び構え――呟く。
 その言葉は「聖トマスの真珠」が拠って立つ柱。
 彼らが異能の、源泉。

 我その手に釘痕を見
 我が指を釘痕に挿入れ
 我が手をその脇に差入るるにあらずば信ぜじ

 ――我ら彼を見ること無くして信ずること能わず。
 見ずして信ずる者は幸い也
 しかして我らの手に力在り、
 我らこれを以て彼を信ず―― 

 
 呟きとともに、またタイタスの姿が変貌していく。
 顔が人のものから――より硬い構造をもつそれへ。
 体は関節をもつ――漆黒の人型へ。
 服の上からでもわかる。
 それは人の形をした甲虫。
 甲虫の目は、複眼。
 たとえ穴を開けられても、ただちにその機能が全て失われるわけではない。
「先ほど目を狙われたのでね――こちらも変えさせてもらった」
 この状態なら、たとえ目を潰されても、一瞬で盲目になることはない。
「仮面ライダーかよ……」
「それは知らぬが――変身というのはコミックヒーロー的ではあるな。其とはほど遠いが」
「あんたは素質あるよ」
「褒め言葉と受け取っておこう」
 さて、と昆虫の顔でタイタスは最後通告を行う。
「クロスボウを失った君に、其は殺せない。その矢をどこかに刺そうとしたところで、その前に君はこの爪で引き裂かれて死ぬ」
「かもしれないな」
「一度だけ言おう。降伏したまえ」
「一度だけ返事してやるよ。断る」
「では――」
 その時、タイタスは見た。
 折れたほうの手が持っている――拳銃に。
「――!?」
「そういうことだ」
 ――銃声は三発。
「がっ……!?」
 タイタスは、まだ状況を把握していなかった。 
「……外殻に素材を集中すれば、肉のほうは可動範囲を確保するためにも多少柔らかめにせざるを得ないだろ、と見込んだんだけどね。良かったよ」
 内蔵まで鋼鉄だったら、流石にお手上げだった、と神無子は息をつく。
 タイタス・ド・リューズの腹――可動範囲を示す隙間に三発、綺麗に銃弾が命中していた。
「最初みたいに、肌は滑らかなままにしておいたほうが良かったな。外殻を強化した分、可動範囲に関節が必要になった。悪いが、それは強力な酸化触媒を封入した特殊弾だ。まあ、毒だな」
 その弾は体内で炸裂すると、化学反応を連鎖的に起こして血液や体液中の酸素を十数秒で奪いつくす。
「例え致命傷でなくても、あんたは内側から窒息死する、って寸法だ。ちなみに最初にかすめたクロスボウには麻酔薬が塗ってあった。あっちは気休め程度だったけど――多分、動きはいつもより鈍ってたはずさ。気付かなかったかい?」
「な……」
 だいたい、クリストフォロスと言ったって、と神無子はうそぶく。
「表皮や骨格の組成を変えようと、人間として活動するための最低限の部分、心臓とか脳はそのまま残ってるはずだろう? まあ、賭けだったけど」
 心臓も鋼鉄製、とはさすがにいかなかったみたいだな――と、神無子は笑う。
 タイタスには、それが小悪魔の笑みに見えた。
「ばかな……銃は、嫌いだと」
「銃は嫌いだ――だが、銃を持ってない、とは一度も言ってない」
「…………は」
「……言ったろう? 私は、臆病だと」
 彼には、その言葉が止めとなったかもしれない。
 ゆっくり膝をつき――そのまま前のめりに倒れた。
 体と顔が元に戻っていく。
「は、は……してやられたか。見事な、臆病さだ……」
「悪いね、卑怯で」  
「戦闘には卑怯も騙しも付き物……弁解には、及ばん」
 しかし、既にその声に力はない。
「主よ……御許に参ります……願わくば、祝福を……」
「……私が祈ってもいいのかい?」
 ――既に、答えはない。
「あなたの魂に安らぎあれ――アーメン、だったか?」
 神無子には、所詮実感のわかない話だが――それで満足して逝けるというのなら。
 顔をのぞき込む。
 ――不思議なほどの平穏が、そこにあった。
「わからんね、本当に――」
 さて、ここからが本来の仕事だ。
 まだ、周と樹は戦っている。
 クロスボウは壊れてしまったが、拳銃はまだある。
 幸いなことに、利き手が折れていようと能力にさほど影響はないし。
 この距離ではさすがに威力はさほど期待できないが、神無子の能力は少々の距離なら乗り越えられる――いや、届かせる。
 自らの能力に対する敗北感など、最初から持たない。
 届くと思い切れば、届く――インヴィクトゥスの異能とはそういうものだ。
 己の能力を信じるのではない。
 己の意志を、執念を、頑固さをかたちにする力――それが彼らに与えられた呪い。
 あるいは、祝福。
 だが――その前に、ひとつ気になることがあった。
 この男は、最初になんと言っていた?
 ブラザー・コンスタン・ヴィルカ。
 狙撃ポイントであるこの場にタイタスを送り込んだ人物のことを。
「彼は踏んだ場所全てにカメラをばらまいて監視している」
 だとすれば、彼らの、真の目的は。
「ち、課長に言ってすぐカメラを潰させないと――」
 尻のポケットから携帯端末を取り出し――嘆息する。
 先程吹っ飛ばされた衝撃で、ほぼ完全に壊れていた。
「……やられたか」
 タイタス・ド・リューズ。
 彼は、結局のところ役目を果したのだ。
「あんたに祝福を――私には呪いを、ってとこだな、全く」
 まあ、仕方ない。
 とりあえず、今出来るだけのことをしよう。
 ――エフドを、撃つ。

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